『行く先はいつも名著が教えてくれる』秋満吉彦

今回紹介する本はこちら

行く先はいつも名著が教えてくれる
秋満 吉彦
日本実業出版社
売り上げランキング: 8,947

本書は誰もが一度は読みたいと思いながら

なかなか手に取ることができない

古今東西の「名著」を100分で紹介する

NHK100de名著のプロデューサー

秋満吉彦さんが書かれています。

自身のプロデューサーという仕事も

決して花形のような職業ではなく

世の多くのサラリーマンが抱えるような

悩みを同じように感じていて、

秋満さんは新人の頃から

挫折と失敗の繰り返しだったそうです。

そんな時に何度も秋満さんを

窮地から救ってきた名著たちを紹介する

言わば人生のガイドブックです。

少しでも何かに悩んでいたり

人生にもっと刺激が欲しいと思う方には

特に読んでほしい一冊です。

簡単ですが紹介されている名著も

まとめてありますので

そちらは気になる名著だけ

読んでいただければと思います。

主な内容

本書は6つのテーマに分けていて

1つのテーマに対して2冊ずつ、

合計12冊の名著が

紹介されているブックガイドです。

その6つのテーマと12冊の名著は

1.夢や希望はかなえられる?

・フランクル「夜と霧」

・河合隼雄「ユング心理学と仏教」

2.困難や挫折と向き合う

・岡倉天心「茶の本」

・神谷美恵子「生きがいについて」

3.働くことの意味とは?

・レヴィ=ストロース「月の裏側」

・宮沢賢治「なめとこ山の熊」

4.人間関係に悩んだときに

・ガンディー「獄中からの手紙」

・維摩経

5.幸福になるには

・三木清「人生論ノート」

・ミヒャエルエンデ「モモ」

6.老いと死を見つめる

・荘子

・歎異抄

といった構成になっています。

著者のこれまでの職業にまつわる

体験エピソードを交えて紹介されている名著と

照らし合わせながら簡潔に分かりやすく

紹介されているのでとても読みやすいです。

紹介されている本は

多くの人が選書する名著だけあって

本書を読んでも

全ての内容を理解するのは難しいですが

より大切なポイントを中心に紹介されているので

これだけでも十分読む価値があると思います。

印象に残った言葉

・フランクル「夜と霧」

人生に意味を求めるのではなく、

人生に何を求められているかを考える。

現実逃避のための夢ではなく、

求められたものから

夢を見つけ自然と叶っていく。

夢は叶えるものではなく、叶うものである。

・河合隼雄「ユング心理学と仏教」

私の無力が動き始め、私はそれを発見する。

自分の得意なもの、苦手なもの

全ての可能性は無限に自分の中にある。

だから行動を起こせば

自然と人生は豊かさを増していく。

・岡倉天心「茶の本」

余白として働いてみる。

自分を空っぽにして

自由に他人が出入りできるように

心得たものはどんな状況もコントロールできる。

異なる環境、文化、他社も含めて

自在に受け入れてみることが

やがて状況を動かしていく大きな力となる。

・神谷美恵子「生きがいについて」

ただたちて待つ者もまたつかまえまつるなり。

は決して消極的な姿ではない。

待つという未来に向かっている姿勢である。

灯りを消して、闇に慣れれば光が見える。

焦らず今の自分とゆっくり対話すること。

そうすれば今やるべきことが見えてくる。

そう、ミルトンの失楽園のように。

・レヴィ=ストロース「月の裏側」

命令・支配するような働き方ではなく、

相手の本質を引き出すような働き方が大切。

自分は触媒にでもなった気で、

周囲の人々やより多くの人たちの思いを

実現する働き方を志す。

・宮沢賢治「なめとこ山の熊」

質的な労働と量的な労働。

理想と現実とも言える。

人材なのか部品なのか。

働くとはどういうことかを

本質的に見つめ直すこと。

・ガンディー「獄中からの手紙」

外なる仮想の敵と戦っているときは

内なる敵を忘却していたといえる。

断食や祈りを通じて

自分自身の問題をまず刺し貫き、

自分から変わることで

相手の内発的な力を引き出し

お互いに変わっていく。

よいものはカタツムリのように進む。

・維摩経

どんなによい方向も偏れば悪くなる。

例えば正義感も同じことがいえる。

悟りと迷いは対立ではない。

すべてを対立構造でなり立てる思考は危険。

自分がよいと思って作ってしまった枠組みに

決して執着せず、常に点検し、解体し再構築し続けること。

このようなとらわれない融通無碍さこそが

原理主義に陥らない方策であり、

風通しのよい人間関係を結んでいく秘訣。

人間関係の秘訣は

あたたかく突き放し、冷たく抱き寄せること。

・三木清「人生論ノート」

幸福は質的なもので、量的なもので測れない。

感情は主観的で、知性は客観的であるという

普通の見解には誤りがある。

むしろその逆こそ一層真理に近い。

・ミヒャエルエンデ「モモ」

幸福とは単に自分の欲望を満たすとか、

刹那的な快楽に身をまかせるとか、

自分だけの利益のために

希望を実現するとかでは決して得ることはできない。

こうした自分を超えた

はたらきや力をありありと実感し、

量的なものには決して還元できない

豊かな時間を過ごせた時に得られる。

・荘子

老いは楽しむもの。

自然のままに心や体が変化の一つとして

面白がっていけばいい。

本当に自立している状態とは

多様に依存している状態。

迷惑をかけないという意識こそ傲慢。

老いたら世間一般の価値基準から離れればいい。

荘子の書いた荘周の思想を

一言で言えば「万物斉同」

全てのことわりは一つの道(タオ)が変化したもので

根本原理は同じという思想。

広大無辺な道からすれば

ものごとの是非や善悪、美醜、好悪などに違いはなく、

自分の価値観を絶対視し、

愚かな争いをするのはやめて

すべてをあるがまま受け入れて

道と一体化すること。

・歎異抄

弥陀の五劫思惟の願をよくよく案ずれば親鸞一人のためなりけり。

浄土仏教は親鸞のためにあり。

現代に当てはめれば情報と物語。

情報は消費し物語は人生を変える。

例えば音楽のようなもの。

情報は自分で操作できるが

物語はありようを問われる。

もう出会う前には戻れない力をもっている。

だからこそ人生の苦難を生き抜く力に変わる。

悪人正機という考え方。

善人なほもて往生をとぐ。いはんや悪人をや。

悪人でさえ往生するのだから

増して善人はいうまでもないというのが一般。

世間とは逆に親鸞は

善人よりも悪人こそ救われると説いた。

善人とは自力で修めた善

によって往生しようとする人。

仏からみればすべては悪人であるのに

自分は善人であるという傲慢さを問う。

悪人正機の真の意味は他力本願の教えである。

まとめ

たとえて言えば、

そそり立つ絶壁から滑り落ちそうになった時、

著者の秋満さんが無我夢中で必死に

しがみついた岩や窪みが

今紹介した名著だったと語られています。

どうか1冊でもいいので

このブログを読んでいただいている方の

心や人生の支えになる名著に出会えるように

これからも書評を続けていきたいと思います。

行く先はいつも名著が教えてくれる
秋満 吉彦
日本実業出版社
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夜と霧――ドイツ強制収容所の体験記録
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ユング心理学と仏教

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歎異抄 (文庫判)

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